進化したIT技術を取り入れることで、人々の生活をより良いものへと変革させるというDXが、さまざまな業界で導入されています。フランチャイズ本部におけるDX戦略に取り組んでいる企業について紹介しています。
経済産業省は2018年、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」において、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しました。簡単に言うと、「進化したIT技術を取り入れることで、人々の生活をより良いものへと変革させる」ということです。
このDXの目標を達成するための短期~中長期的なロードマップをDX戦略といいます。
参照元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf[pdf])
フランチャイズ独特のビジネスモデルに着目し、トレンドに合わせたフランチャイズの在り方を提案しています。さまざまな業種や業態におけるフランチャイズビジネスづくりをサポートした実績を持ち、支援した企業は40社以上。(※2022/2時点公式HPより)
フランチャイズ本部の構築、ビジネスモデルの構築・実行支援などのコンサルティングをはじめ、さまざまな事業を展開。ビジネスモデルの本質を捉えた事業開発コンサルティング、成長企業が新たなステージへ進むための成長戦略コンサルティングなどのコンサルティング業務のほか、フランチャイズビジネスの研究やノウハウ開発の成果を伝える執筆活動、企業が成長し続けるための人材育成サポートなども行っています。
フランチャイズ本部にDX戦略を導入する場合はどのように進めたら良いのでしょうか。
フランチャイズビジネスの研究や、ノウハウの開発を推進しているフランチャイズ研究会の副会長もつとめており、幅広い業種・業態のフランチャイズ本部構築を手掛けるカーネルコンサルティングの代表者にインタビュー取材をしてきました。
私(代表:高木)は、元々、システムエンジニアからスタートし、業務改善・ITコンサルタント、ビジネスモデル構築コンサルタントとして様々な企業様をご支援してきました。その活動の中でフランチャイズビジネスと出会い、現在、フランチャイズビジネス専門のコンサルティングをしています。
これらの経験から、FC本部に必要となる戦略策定、ビジネスモデル構築、業務設計を支援するなかで、FC本部として必要なDX化の支援も行っています。
具体的には、その企業様の実情に合わせ、システム構築の目的、企業の課題・目標、希望する運用開始時期や費用などを「システム要件」として整理します。この情報をもとにIT開発の販売会社へRFP(提案依頼書)として提示したり、既存のITサービスの機能で要件をまかなえないかの確認をするなどの支援をすることもあります。
本部の対応としては、SVやIT責任者などを通じて、ITの導入目的やその効果などについて、加盟者ごとの収益状況や初期投資の回収状況などを考慮しつつ、丁寧に説明をしながら進める必要があります。これには時間がかかりますから、計画的な対応が必要となりますし、粘り強く対話していく必要があります。
加盟店との契約時点においては、将来、新たに発生するかもしれない費用負担についても想定し、契約書の準備と契約行為をする必要もあります。例えば、フランチャイズ契約書上には、以下のようなことを定めておきます。
また、FC契約前の対応にはなりますが、「将来、新たなコスト発生することがある」ことを示した「リスク確認書」を提示し、承諾を得ておくというのも契約上のテクニックです。
業種・業態、企業やFC本部のステージによって異なります。DXでは、企業活動で扱う様々なデータを、IT技術を用いて効率的に処理し、分析できるようにします。具体的には、効率的な業務運用の支援や情報分析(販売管理・購買管理・在庫管理・労務管理・会計管理・BIなど)、組織間のコミュニケーション支援(グループウェア・ワークフロー・チャット・SNSなど)、マーケティング支援(SFA「営業支援システム」・CRM「顧客関係管理」・MA「マーケティング業務自動化ツール」など)などがあります。
例えば、飲食業であれば、原材料の在庫情報をもとに自動受発注を行うことで最適在庫量を確保し、機会損失の削減、廃棄削減によるコストカットへ活用する。小売業であれば、商品ごとの販売実績の情報をもとにABC分析し最適な在庫管理を実現したり新たな商品開発に活用したりする。サービス業であれば、顧客情報をもとに販売促進や新たなサービス開発に活用するなどが考えられます。
IT導入では、まず直営店において最低限必要なシステムと、本部と店舗を結ぶシステムを構築し、FC本部の発展段階に応じて必要なものを構築していくことが現実的なステップです。
DXとは「新たなデジタル技術を活用し、これまでにないビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること」であり、その目的は以下のように2つあります。
⓵は既存事業の延長として、ビジネスの効率化・合理化を図り、収益性を向上させていくことを目的とします。各企業では、これまでも取り組まれてきたものですが、必ずしも十分なものではありませんでした。多くの企業は古いフランチャイズシステムのまま運用を続けているため、新しいIT技術を用いて、自動化、業務の効率化、安定的な運用を考えていく必要があります。
⓶は、デジタル技術を活用した新たなビジネスの創出、価値の向上をしていくものです。フランチャイズ本部のDX戦略としては、この⓵、⓶を意識して、戦略を立て実行していく必要があります。
DXによって新たなビジネス創出がなされた事例として、Uber Eats(ウーバーイーツ)が挙げられます。これは、従来のデリバリービジネスを単にデジタル化したのではなく、新しいデジタル技術をフル活用し、料理のデリバリー事業を新たに始めたい飲食店と、お金を稼ぎたい一般人(配達パートナー)をつなげるという、新しいビジネスモデルを作り上げました。
このUber Eatsの仕組みを活用した「ゴーストレストラン」という業態が生まれ、このフランチャイズモデルも生まれています。その他、セルフレジによるレジ業務の無人化、入館管理システムやAIミラーによる無人フィットネス、ロボットによる無人配膳など、人材不足解消、非接触、無人での店舗運営などを実現するDX化も進んでいます。
FC本部には、「常に新たなビジネスモデルを構築し続ける」という重要な役割が求められます。積極的にDXに取り組むことで、他にモノマネされづらい、競争力のある新たなビジネスを生み出していってもらいたいと考えています。
そのためにも、FC本部では、これらを実現するための責任者(CIO)や、技術面だけでなく、ITとビジネスを結び付けて考えられる専門部門(IT戦略部門)を設置する必要があります。今後の成長の種を見つけ成長させていくための取り組みを期待しています。
カーネルコンサルティングの公式HPで
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